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――音がした


(上質な石壁よりも奥まった位置にある扉に手を掛けて、中へ。)

カラン。
木枠とステンドグラスで作られた扉に付いたベルが、軽い音を立てた。
外は眩い昼中だと言うのに、室内は薄暗く、紫煙がまた暗さを引き立てていた。
入り口に控えていた男に声を掛けられる前に此方へと手を上げた男に気付き、連れが居る事を目線で示す。男は恭しく頭垂れると、数名の男達がカードゲームを興じるテーブルまで案内をする。
「よう」
「やあ」
口々に軽い調子で挨拶をしてくる数名の男達は、みな見知った顔であった。此方も外套と帽子を案内してくれた男に渡しつつ、口だけで軽い挨拶を返した。

上質な革張りのソファを軽く引かれ腰掛け、アンティーク調のテーブルでカードゲームを興じる男達を眺める。どの男達も身なりは良く、軽い口調とは裏腹に所作に品が感じられた。
カードゲームが終わるまでに暫く掛かるだろうと判断し、近くを通りがかった店員らしき男に飲み物を頼む。
「…最近、どうだ?」
手袋を外し、手持ち無沙汰にステッキを弄っていると、ゲームに興じながらも赤茶の髪の男が尋ねてきた。
「如何…とは?」
「最近、とんとご無沙汰じゃないか。ご婦人方が寂しがっていたぞ」
カードから目を離し、にやりと揶揄される。にやりとした笑みにも関わらず下卑た感じに感じられないのは、男の育ちが良い所為だろう。
答えずにただ笑みを返すと、丁度店員がグラスを持ってきた。丸みを帯びつつも四角いコップに、氷と琥珀色の液体が入っている。礼を述べ、グラスに一口口を着け唇を塗らす。
「何だ?面白い事でも見つけたのか?」
「まさか」
言葉と共に、笑みが漏れる。そう、まさか。だ。
「その割には楽しそうだな」
「そうだ、君らしくも無い」
「そんな事は」
無い、とは言い切れない自分に気付き、言葉を切りただ口角を上げて誤魔化した。
昔の自分よりも、今を楽しんでいることは自覚している。
「面白い事があるなら、教えてくれよ」
途中から話に入ってきた黒髪の男は眼鏡を押し上げつつ、哂う。哂い様に男がカードをテーブルへ放り出し、勝敗が決した様だ。口々に悔しがり不平を述べる男達を見て、余裕の表情で男は哂った。
毎度この男が勝っているなと思って眺めると、勝利に気を良くした男がどうだと煙草を勧めてくるのを、手だけで断る。
「此方が教えて貰いたいくらいさ。――何か、変わったことは?」
カランと氷を鳴らしながらグラスを傾け、男達の様子を眺めつつ、問うが返って来る答えは何時も殆ど変わり映えが無い。
「ある訳が」
「そうだぞ、俺達に許された楽しみは恋愛遊戯くらいだろ?」
「自由が許されるのは、今だけさ」
「ああ。…そう言えば、ベルガー家の令嬢がやけにお前の事を聞いてきてたぞ」
「ベルガー家?…金髪の?」
「そうだ。気をつけろよ?」
「ああ、すまない」
忠告に、素朴な顔立ちだが笑顔の愛らしい金の髪の令嬢の顔を思い浮かべ、面倒ごとは御免だと頭を振る。お互いに遊びと割り切れる相手なら良いが、一線を踏み込まれては困るのだ。それはどの貴族にも言えた事で、自由が許される内は遊戯に興じる。今も昔も、それは変わらず繰り返される。
「あとは…アックス家か」
黒髪の男が思いを廻らせる素振りで呟き、その話題には皆思い当たるのか、あぁと小さく頷く声が漏れる。
「堕ちたものだな」
「六英雄の子孫だったが…」
「まさか、アックス家がな」
口々に呟く男達の言葉は、苦い。
アックス家が名門中の名門の家柄な事は、アクスヘイムに住まう古くからの貴族であれば常識にも等しい事であり、六英雄の子孫と言う事しか取り得の無い家とは言え、かの家の衰退を良しと思う者は少なかった。しかし彼の家は、事実上取り潰しと言う形になった。それは貴族社会においてかなりの衝撃を与えるものであった為、あちらこちらで話題に上るようだ。
だがそれも時機に無くなるのだろう。男達も既にあれこれと次の話題へと移っていた。
何処其処の令嬢が如何のだとか、何処ぞの家のお家騒動だとか他愛の無い噂話に花を咲かし、ゲームに興じ笑いあう。

カラン。
空になったグラスを机に置いて席を立つ。
「帰るのか?」
肯定の意を示し微笑を浮かべると、またなと短く口々に声を掛けられる。
外套と帽子を受け取りつつ、入ってきた出入口へと向かう途中、
「気をつけろよ」
背中に掛けられた再度の忠告に後ろ髪引かれ立ち止まるも、振り返る事無くステッキを振り応え、店を後にした。









全身を椅子へと預け、馬車の窓から夕陽に沈む家々を眺める。
急いでいない為か馬車の足取りは緩やかで、景色はゆっくりと流れていく。
暫く景色を楽しんでいたが、夕陽を眩しく感じ瞳を伏せ、徐に手に持ったステッキで馬車の屋根を二度叩くと馬車は緩やかに足を止め、御者台の窓から男が顔を覗かせた。
怪訝な顔をした御者に大事無いと笑い、此処で降りる旨を伝えると御者は困った顔をしながらも、外から扉を開けてくれる。礼を言い馬車を降り、あっと気付いて帽子と外套を外し、御者に預け持ち帰る様に短く命じ、くるりと踵を返す。
「…アルトゥール様」
「煙草の匂いが着いてしまった。真っ直ぐ帰るとノーラに叱られるだろう?私は歩いて帰るよ。風が心地好い」
控えめな窘めに適当に誤魔化しておいてくれ、と笑ってその場を離れる。無理を言うのは何時もの事で。

風に髪を遊ばせ、ステッキをブラブラとさせながら、夜の帳が徐々に下りていく街を眺め歩き、行き着く先は馴染みの店。扉に手を掛けようとしたところで、はたと今気付いたかの如く手元を見つめる。
「…あぁ、之も預けてしまえばよかったのか」
苦笑して、仕方ないと独りごちながら看板を見上げて確認し、扉に手を掛けた。

カラン、と扉が乾いた音をたてる。
「いらっしゃい」
店の奥から艶を帯びた気だるげな声がして、迎え入れられる。
看板には孔雀。
店主の傍らの愛らしい猫が、にゃーと鳴いた。



――カラン、カラン。



←----------------------- キリトリ -----------------------→

何でも無い日。

紳士において、帽子は盾でステッキは武器。
つまり【こういうこと】


土日は…二日掛けてお墓を4箇所周るんだ…
もっと墓地があるのだけど、遠い所は先に済ませてあるのです。
新しい卒塔婆も先日庵主さんに貰ったので、取替えなくちゃ。
関東は聖地巡礼とかではしゃがれているようですが、
お盆はお墓掃除やら参りや親戚の集まりでちまちまと忙しいです。
…この二日、アトリエ関係が一喜一憂どころか一喜三憂な感じなので、
お墓参りをちゃんとしてクールダウンしてこようかと思います。
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