Magnolia

家の敷地から一歩も出た事の無かった幼い日の私でも知っていた、あのフォルム。
窓から見上げていた、あの、大きく立派な、都市の象徴たる、斧。

アクスヘイムに戻って、感じた違和感。
焼け落ちた家々よりも、酷い状況よりも、何より何かが足りなくて。
私の知っている故郷とは違うような、そんな気がした。
見上げた立ち上がる煙の向こうを見て、気付いた。
ああ、あの斧が無いのだ、と。


ずっと見ていたあの斧が無くなると、当たり前の物が無いような、しっくりこない気持ち。
幼い日の私は、アイスレイピアの方が格好良いのに何故斧なのかと思っておりましたが……
結構私も、あの斧が好きだったようです。

私の日常を返していただくためにも、斧を返して貰いにいかなくては。
のこのことやってきてくださったのだから、丁重にお出迎えいたしましょう。

さあ、行きましょうか。