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――転げ落ちたのは


気が狂ったのかと思った。

破滅、破滅、破滅、破滅、破滅、破滅。

道行く人々の目に映るエンディングが、全て同じ。
アクスヘイムの破滅しか映らない。

破滅、破滅、破滅、破滅、破滅、破滅。

雑踏で、慌てて他所を向いても。
向いても、向いても、向いても。

破滅、破滅、破滅、破滅、破滅、破滅。

顧みる人々の目には、滅亡のエンディング。
絶望一色に塗られた、死と混沌の。
破滅に染まる人々に押し流れそうになる。

「――これは、いけない」
気付くと踵を返し、駆けていた。


――真っ赤な林檎。
(室内に響くのは、時折聞こえる紙をめくるはらりとした音。
 しかしその静寂も、長くは続かない。)


柔らかな銀髪を頭上に束ねた婦人が退屈そうに、ふぁっと小さな欠伸を漏らす。
猫足のカウチに半ば凭れる様に腰掛けて、未だ本から視線を動かそうとしない男を眺める。彼女がこの部屋に訪れた時から変わらずあのままだ。礼儀として挨拶等してはくれたが、またすぐに書物へと戻ってしまうのだ。
詰まらない。退屈だ。

堪らなくなって、声を掛ける。
彼女の一人息子は、彼女の言葉になら反応を示す事を知っていて。

「ねぇ、アル?あれは何かしら?」
「…本です」
羽付の婦人らしい扇を、部屋の到る所に置いてある本へと向け、問う。
しかし彼は、顔も上げずに小さく応えるのみ。
見もしないでわかるのかと問いたくもなるが、生憎この部屋にあるのは本ばかり。息が詰まってしまわないかしら、と婦人は小首を傾げる。
名を呼ぶ声が、意識の端に。
気付いてはいたけれど、それよりも目の前の事に集中したくて遮断する。
重要度が高ければ、それなりに相手も行動に出ることを知っているから。


どれくらい経ったのだろう。
暫く後に書物から顔を上げたのは、名を呼ばれた云々ではなく、騒がしさに気付いた為だ。先程まで室内に居た使用人も、慌てた様子で外へと向かったようである。『彼女』もまた窓へと向かい、外の異変を警戒していた。
眼鏡をはずし文机へ置き、パタリと本を閉じる。こちらの動きに反応して『彼女』が近寄ってくるのを優しく撫で、高い天井まで硝子の嵌められたサンルームの様な窓へと近寄り、外を窺うが異変を目視するには至らない。

(…庭、か。)

己に害を及ぼすものならば使用人達が室内に残る事を考えた上で危険は無いと判断し、上着を掴みシュネーを連れて外へ出る。夏の気配はあるものの薄着の肌に冷やりとしたものを感じて袖を通さず肩に掛け、シュネーの為に背高な葉を避けてやりつつ、人の気配のある方へと向かった。


よく手入れされた薔薇園の奥、噴水の辺りで使用人達が整列していた。
噴水前には、よく知った顔ぶれの使用人達と、日傘の淑女とその付き人。
客など招いた覚えも無く、嫌な予感がした。
掲げた日傘で顔が見えなかったが、嫌な予感しかしなかった。

くるりと日傘が動き、こちらに気付いた淑女が嬉々とした声を上げた。
「――アルトゥール!」
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