Magnolia

そういえば、すっかり忘れていました。
星を、見に行ったのですよ。



――贋物の光、ですけれど。

今よりもまだ、寒さがましな頃でしたか……星を見に行きました。
本当はイマージュ退治の依頼だったのですが……まぁ星見、ですよね。



一人ずつ星に関する話を持ち拠って、との事でしたので、私は私のスピカの話をしました。

私のスピカ、ペルレは、私が初めて召喚した星霊です。
歳は……一桁の頃でした。何もかもが私の思い通りになると信じ、疑わなかった頃。
父も母も、乳母も、私が望めばどんな些事も叶えてくれていました。
……幼い私の願いが可愛らしいものばかりだったからかもしれません。自分の事ですが、見た目もとても可愛らしく、何から何まで非のうち処がないくらい素晴らしい少年でしたし。我ながら罪な存在だと思います。
話が逸れましたね。
そんな、何不自由無く過ごしていた私が、初めて両親に与えて貰えなかった物が”星”だったのです。
空にキラキラと光る、アレが欲しくて。せいいっぱい手を伸ばして欲しました。
我が侭を言って、両親も乳母も、他の家の者たちも、たくさん困らせたと思います。
手に入らないものほど、どんどんと欲しくなってしまうのですよね。

そんな事もあり、色々とした後、私はペルレを喚びだした訳です。
贋物の星ではない、手の届く確かな私だけの星。

召喚した時の詳しい話は……ノーラあたりが覚えているのではないでしょうか。
私はあまり覚えておりません。
（――本当は覚えているけれど、）



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その内、ちびっ子アルさんの話を書くかも。

ペルレはドイツ語で真珠。そしてスピカは真珠星。
ペルレたんはアルさんにとってお星様だから、そういう名前なのでした。